2011年06月01日

万物のGoogle化

(これは、学科のブログにも掲載した内容です)


みなさん、Googleは使ってますか?ウェブ検索も出来るし、メールも使えるし、ビデオも見れるし(YouTubeはGoogle傘下のサービスです)、地図や町並みの画像なども検索できて便利、ですよね?

しかし、あまりにも便利すぎてヤバいんじゃないの?という声が、アメリカのメディア学者などの間では出てきています。

ヴァージニア大学のメディア論・メディア史教授、シヴァ・ヴァイディヤナタンさんによると、あらゆるものがGoogle化することで、私たちの文化や学問、社会は大きく変化してしまうのではないかと心配しています。ヴァイディヤナタン教授の意見を簡単にまとめてみましょう。

古代から近代にかけて、知識を生産し伝達するしくみは、ゆっくりと進化してきました。真理を追求し、多くの人々に知識へのアクセスや言論・表現の自由を与える方向へと進んできたと、大雑把に言うことができます。国家・民族や人類社会全体のためという名目で、公共性(多くの人々がアクセスでき、理想的には万人のためになる)や正義のために、知識生産や伝達は行われるものと考えられてきました。

日本ではYahoo! Japan、中国では百度(ヴァイドゥ)、韓国ではNaverが人気で、Googleは検索サービスのシェア1位というわけではありません。しかし、世界的に見ると、Googleの存在感は圧倒的です。Googleブック検索というプロジェクトでは、世界中の本をスキャンしてデータベース化し、検索を提供しようとしています(現在は、著作者や出版社、政府などの反対が大きく、足踏み中です)。

この傾向がずっと続くと、Googleは文字通り、世界中の知識の伝達を支配する可能性があります。知識伝達が支配されれば、あらゆる知識は先人の知識を学ぶことを通じて前進し、生産されてきましたから、知識生産も支配されてしまうことになります。

しかし、Googleは株主の利益を考慮して、短期的な利益を上げることが迫られる私企業です。知識伝達や生産の公共性はどうなるのでしょうか?

Googleのような株式会社は、株主(株式会社にお金を投資して、会社の利益や株価の上昇から自分の利益を得ようとする人たち)の利益を考慮しなくてはなりません。株価の上昇がGoogleの好調を支えているので、株価を維持し、上げていくために、問題がある行動を取る可能性があります。

Googleとは何か、世界のGoogle化は何をもたらすのか、ヴァイディナヤタン教授は分析し、人間のゲノムをすべて解読する世界的なプロジェクト「ヒューマン・ゲノム・プロジェクト」ならぬ「ヒューマン・ナレッジ・プロジェクト」を提唱します。このプロジェクトは、全世界の図書館が拠点となり、公共性の高い知識の流通・伝達を支えるサービスを構築しようというものです。結構、気宇壮大です。

ヴァイディナヤタン教授の研究Googlization of Everythingはまだ日本語になっていません。しかし、どこかの出版社で翻訳プロジェクトが進行しているようです(残念ながら、私が翻訳ではありません。出版社もどこかなぞです)。

もっと詳しくこの問題について知りたい人は、私の書いたエッセイ「万物のグーグル化」『みすず』2011年6月号をご覧ください。あ、今同誌のサイトにリンクしようとしたらまだ5月号が最新号ですね。全国の書店でおいてあると思いますので、どうぞごらんください。
posted by otani at 09:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 大谷の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月31日

「産業と技術の歴史」更新

「産業と技術の歴史」のスライドを更新しました。
posted by otani at 14:22| Comment(0) | TrackBack(0) | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月25日

産業と技術の歴史スライド2011

本年度(2011年度)の産業と技術の歴史(金曜日1時限)のスライドをアップロードしました。

授業の復習や試験勉強に役立ててください。
posted by otani at 18:51| Comment(0) | TrackBack(0) | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする